パパ育休のリアル|男性が育休取得を成功させるための交渉術2選

今回は、マイナビ転職 MEETS CAREERさんの男性育休に関するコラムを拝見して、パパ育休中の私が感じたことを紹介する。

コラムレビュー|夫婦間の日数差、育児スキル格差…男性育休の“困難”をどう乗り越えるか、専門家に聞く(MEETS CAREER)

前回、こちらのコラムの「育児スキル格差」というキーワードに着想を得て、「新米育休パパの心得3選」を紹介した。

<前回の記事>パパ育休のリアル|妻との育児スキル格差をどう乗り越えるか。新米育休パパの心得3選 | パパ、会社を1年サボります~育休管理職のリアルレポート~

今回は、同コラムの後半で触れられている「男性育休取得を実現させるための方法」について、私の実体験を織り交ぜて紹介していく。

はじめに

まず前提として、企業側は男性の育児休業の申請を基本的に断れない、という法律上の事実について触れておく。

参考文献|労働条件・職場環境に関するルール |厚生労働省

育児休業は、女性・男性どちらも取得できます。事業主は要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできません(育児・介護休業法第2章)。

このことを直属の上司は知っているか、知らないか。

直属の上司が新人管理職などで、制度への理解が乏しかったりすると、会社との交渉に苦慮する可能性がある。

実際に私が育休(1年)を申請した際も、初めて上司と会話する前に、

バッドケース(渋り)から最悪のケース(拒否)まで、シミュレーションは幾度となく重ねた。

社内に類似ケースがまだなく、どういう反応になるか読めなかったからだ。

会社との交渉への不安

いくら法律的に育休取得の権利が守られていたとしても、不安は募るばかりだ。

  • 育休取得を拒まれてしまうのではないか。
  • 取得期間を短くするよう打診されてしまうのではないか。
  • 上司との関係性が悪化してしまうのでないか。
  • 復職後の待遇に悪影響が出てしまうのではないか。

制度はあれど、実社会での人間関係では何が起きるかわからない。結局は「人」の部分だ。

しかし、適切な準備と考え方を持つことで、多くの不安は払拭できると考える。

表題のコラムの中で書かれている「育休を取得しやすくするコツ」を紹介しながら、

男性が育休取得を成功させるための交渉術2選をまとめた。

【長期的戦略】成果を出して社内影響力を高める

表題のコラム内では下記の記述がある。

アンケートによると、「育休を取得しやすくするコツ」については男女ともに「上司と話しやすい人間関係を構築しておく」「同僚と相談しやすい人間関係を構築しておく」といった人間関係に関する項目が上位に挙がりました。女性は、より人間関係のフォローに注力する傾向がある一方で、男性は「日頃から成果を出しておく」ことも意識しているようです。

私の経験からも、「日頃から成果を出しておく」ことは重要だと考える。

それは社内での影響力が上がるからだ。

私は、社員数500名未満の会社の中で、男性管理職として初めて育休を取得している。

同世代の社員、ならびに横並びの役職陣の中では、比較的良いパフォーマンスを出していた。

その結果、社内での発言力・影響力が少なからず生まれていたと考えている。

  • 自身が会社のロールモデルとなれば、私の育休取得に対する会社側の対応もロールモデルになること
  • 周囲や後進の若手からロールモデルとして見られれば、会社側の対応如何で、社員定着率に影響すること

そういう状況にしておくことは、会社との交渉上、有利に働くと考えた。

しかし、これは長期的な目線からの話で、準備には年単位での時間が必要だ。

今年、育児休業を取得しようと考えていて、すぐに実現できる話ではない。

【短期的戦略】会社の採用活動への良い影響を示唆する

今回のコラムの中でも下記の記述がある。

実際、企業規模によっては育休取得率の公表が義務化されており(編注:2025年4月より、労働者1000人以下300人超の企業は、育児休業取得状況の公表が新たに義務付けられた)、「育休がキャリアに響きにくい会社」を探すハードルも下がっています。

ちょうど2025年4月より、育休取得率の公表が義務付けられたことにより、

私(若手管理職)の育児休業(1年)の取得事例が、採用活動において重要なアピールポイントになる可能性があった。

就活中の学生や中途採用の応募者から、「貴社の育休取得実績は?」と質問が来ようものなら、

「30代若手・男性管理職・1年間の育休取得実績があります」と回答できる。

求職者には安心して働ける会社に映るだろう。企業の採用活動においては重要な視点である。

実際に、所属している会社の新卒採用サイトには、男性育休取得の前例がしっかりとアピールされた。

実際の交渉を振り返って

結果的には、私の育休取得(1年)の交渉はそれほど難航することはなかった。

直属の上司は、理解がある方だった。

しかし、振り返ってみても、事前の具体的な戦略は、心理的な安心感を生み、有利に働いたと感じる。

私の迷い無い申し出に、上司も私に交渉の余地は無いと感じたかもしれない。

育休取得の告知タイミングへの配慮

なお、育児休業の申請は、育休開始予定日の1か月前までとあるが、会社への通知は、早ければ早いほど良い。

私は管理職だったため、パートナーと相談して、安定期に入る少し前に上司に告知した。

会社側は後任の選定と人事調整を、十分な期間を持って準備しなければいけないからだ。

その点を配慮していることを伝えることも、大事な交渉術だ。

前例が無かった男性の育休取得の交渉は、

例えるなら営業職に置き換えると、顧客の情報無しに重要な交渉に臨むようなものだ。

そのため、考えられる武器(会社との交渉材料)は多いに越したことはない。

おわりに|育休取得したものとしての役割

私も、同僚やチームメンバーから育休取得の相談があった際は、

「おめでとう。わかりました。」と即答できるようにならなければいけない。

管理職としては、常に業務の調整や人員配置を考えることが、重要な役割で、

育児休業制度を考えることが、成果を出し続ける組織作りにもつながるはずだ。

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